Sora 2 はなぜ終了したか: 日本の権利者対応と残った課題
OpenAIの動画生成AI「Sora 2」は、2025年9月の提供開始から半年でウェブ版・アプリ版を2026年4月26日に終了し、APIも9月24日に終了した。終了前に、日本政府は著作権侵害をしないよう要請し、CODAが要望書を提出、出版社・日本漫画家協会・日本動画協会の19団体が共同声明を出していた。CODAは2026年3月27日にOpenAIから終了の報告を受けて「ひとつの区切り」としているが、オプトイン方式への企業としての転換は確認できておらず、同種のサービスは他社に広がっている。
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現時点の結論(2026-10-25 時点)
Sora 2 はサービスとして終わった。 OpenAIは2026年4月26日にウェブ版・アプリ版を終了し、開発者向けAPIも2026年9月24日に停止しました。日本の権利者が求めた「学習前の許諾(オプトイン)」への企業としての転換は確認できておらず、争いは決着ではなく「対象が消えた」形で終わっています。CODAは2026年3月27日にOpenAIから終了の報告を受けたと公表し、これを「ひとつの区切り」としつつ、同種のサービスが他社から出ているとして2026年度に実態調査へ入ります。
- 前回確認時からの変化: この出来事を追うページは今回が初回のため、比較する前回はありません。2026-03-27 の CODA の公表以降、Sora 2 をめぐる新しい訴訟・行政処分・OpenAIの追加説明は、2026-10-25 に確認した範囲では出ていません(変化なし)。
- 確定していること: ①ウェブ版・アプリ版は2026-04-26、APIは2026-09-24に終了(OpenAI公式)②終了発表は2026-03-24〜25、CODAは2026-03-27に報告を受領 ③日本政府は2025-10-06に内閣府の知的財産戦略推進事務局から要請し、10-07に平デジタル大臣、10-10に城内内閣府特命担当大臣が公表、10-12に平大臣がオプトイン方式の採用を要請したと明かした ④CODAは2025-10-27付で要望書を提出 ⑤2025-10-31に出版社17社・日本漫画家協会・日本動画協会の19団体が共同声明を出した ⑥2025-12-11にDisneyと3年間のライセンス契約を発表したが、10億ドルの出資は実行されず、提携は事実上の休眠に入ったと報じられた。
- 未確定のこと: 最終的なエクスポート期間の期限(OpenAIは「設ける場合は開始前にメールで知らせる」とだけ記載)、OpenAIが企業方針としてオプトイン方式へ転換したか(2025-10-31の共同声明も「経営者個人の示唆」で企業の正式方針は未確認としている)、対価還元の仕組みの具体化、Soraの生成物をめぐる訴訟の有無(確認した範囲では提起されていない)、APIの後継の有無。
- 読者への実際の影響: 権利者側にとっては、要望書・声明・政府要請という手順が「サービス終了」までは到達したものの、判決やライセンス条件の確定には至らなかったという結果です。次に同じ構図のサービスが出た場合、同じ手順を最初から踏む必要があります。利用者・制作側は、Soraで作った素材を自分で持ち出す必要があり、最終エクスポート期間の後にデータは削除されます。すでに公開した動画はSoraの終了とは別に残り、第三者の権利を侵害していれば責任は利用者側に残ります。
- 次に注目する日付・出来事: 最終エクスポート期間の告知(日付は未公表。告知はメールで行うとOpenAIが記載)、CODAが2026年度に始める生成AIサービスの実態調査(経済産業省の受託事業)、他社の動画生成AIに対する権利者側の要求の行方。
- 一次資料と最終確認日時: OpenAIヘルプセンター「Sora の提供終了について知っておくべきこと」、CODA「OpenAI社に『Sora 2』の運用に関する要望書を提出」(2025-10-28)、CODA「OpenAI社から『Sora2』サービス終了に関する報告を受領」(2026-03-27)、講談社ほか「生成AI時代の創作と権利のあり方に関する共同声明」(2025-10-31)、OpenAI「Disney とのライセンス契約」(2025-12-11)。最終確認 2026-10-25
何が起きたのか(時系列)
- OpenAIが動画生成AI「Sora 2」の提供を開始。権利者から明示的なオプトアウト申請がない限り、著作物を含む映像を生成・公開できる方式だったと、CODAと共同声明は指摘しています(CODA 要望書)。
- サム・アルトマンCEOがブログで、権利者がキャラクターの生成をより細かく制御できる仕組みと、収益分配の検討に言及(Impress Watch)。
- 日本政府(内閣府 知的財産戦略推進事務局)がOpenAIに対し、権利者の懸念に対処するようオンラインで要請。同じ日、米国の全米映画協会(MPA)も声明を出しています(CGWORLD、INTERNET Watch)。
- 平将明デジタル大臣が記者会見で「ビッグテックの自主的な対応を強く求めたい」と発言(ITmedia)。
- 城内実 内閣府特命担当大臣が会見で、政府が要請を行ったことを公表。「アニメ・マンガは世界に誇るかけがえのない宝」と述べたと報じられています(ITmedia)。
- 平デジタル大臣がテレビ番組で、オプトイン方式の採用に加えて「有名なキャラクターが出ないようにすること」「アプリから侵害を指摘して削除要請できること」を求め、OpenAI側が対応したと明かしています(知財ニューストピックス)。
- CODAがOpenAIに要望書を提出(10-28公表)。要求は「会員社のコンテンツを無許諾で学習対象としないこと」「生成物に関する侵害の申立て・相談に真摯に対応すること」の2点(CODA)。
- 出版社17社、日本漫画家協会、日本動画協会の19団体が「生成AI時代の創作と権利のあり方に関する共同声明」を発表。学習段階と生成・公表段階の両方で許諾を得ること、学習データの透明性、適正な対価還元を求めた(講談社)。
- 日本の著作権法は属地主義で国内にしか及ばないため、米国事業者への実効性に限界があると報じられる(ITmedia)。
- OpenAIがDisneyと3年間のライセンス契約を発表。Disney・マーベル・ピクサー・スター・ウォーズの200以上のキャラクターをSoraで使えるようにする内容で、取引の完了は通常の条件を満たすことを前提としていた(OpenAI)。
- 2026-03-24〜25: OpenAIがSoraのアプリ提供終了を発表。SoraチームがXで表明し、あわせてAPIの終了時期も案内するとした(ITmedia)。
- CODAがOpenAIから「アプリおよびAPIを含むプロダクトとしての提供を終了する」との報告を受けたと公表。「今回の判断はこれまでの取り組みにおけるひとつの区切り」としつつ、他の事業者による同種サービスの提供が始まっており「著作権侵害につながる潜在的なリスクは依然として存在する」としている(CODA)。
- ウェブ版・アプリ版の提供終了(OpenAIヘルプ)。
- Sora APIの提供終了(同)。
- 2026-10-25(現在): 生成済みコンテンツはエクスポート可能。最終的なエクスポート期間が終わった後に、利用に関連するデータを完全に削除するとOpenAIが記載しています。
日本の要求は何だったのか
要求は3層に分かれていて、内容はほぼ同じ方向を向いていました。
- 政府(内閣府・デジタル庁): 著作権侵害となる行為をしないこと。さらに踏み込んで、学習前に権利者の同意を取るオプトイン方式の採用、有名キャラクターを出さないこと、アプリからの削除要請に応じること。
- CODA(コンテンツ海外流通促進機構): 会員社のコンテンツを無許諾で学習対象としないこと、侵害の申立てに真摯に対応すること。CODAは「特定の著作物が出力として再現・類似生成されている状況では、学習過程での複製行為そのものが著作権侵害に該当し得る」としています。オプトアウト方式については「日本の著作権制度では著作物の利用に原則として事前の許諾が必要で、事後的な異議申し立てによって侵害責任を免れる制度は存在しない」と批判しました。
- 19団体の共同声明: 学習段階と生成・公表段階の両方で許諾を得ること、学習データの透明性、許諾した権利者への適正な対価還元の3原則。オプトアウトが原則になっていること自体が権利侵害につながると明記しています。
共同声明の発出者は、日本動画協会、日本漫画家協会、および秋田書店・一迅社・宙出版・KADOKAWA・コアミックス・講談社・小学館・少年画報社・新潮社・スクウェア・エニックス・竹書房・TOブックス・日本文芸社・白泉社・双葉社・芳文社・リイド社の出版社17社です(講談社の掲載ページ)。
OpenAIは何を変えて、何を変えなかったか
変えたもの(報道・公式で確認できる範囲)
- 権利者向けのキャラクター制御と、収益分配の検討を表明した(2025-10-04 のアルトマンCEOのブログ、GIGAZINE)。
- 生成の現場では、日本の主要キャラクター名を含むプロンプトへの制限が強化されたと報じられています(Impress Watch)。
- 人物の同意にもとづく「キャラクター(旧カメオ)」機能など、安全側の仕組みを公式に説明した(OpenAI「Sora での安全な制作」)。
- Disneyとは逆方向の動きとして、権利者との大型ライセンス契約をまとめた(2025-12-11)。
変えなかったもの・確認できないもの
- オプトイン方式への企業としての転換。共同声明は「OpenAI社の経営者個人がSNS上でオプトインへの転換を示唆したものの、これが企業としての正式な方針なのかどうかは現時点で確認されていません」と書いています。今回、2026-10-25 までに公式の方針転換の告知は確認できませんでした(未確認)。
- 法制度としての決着。日本の著作権法は属地主義で、米国事業者の運営に直接適用するのは容易ではありません(ITmedia)。今回、行政処分や訴訟には進んでいません。
- 訴訟。Sora 2 の生成物をめぐる日本での訴訟提起は、確認した範囲では行われていません。CODAの要望書は「申立て・相談に真摯に対応すること」を求めるもので、提訴の予告ではありません。
サービス終了で残ったもの
- 生成済みデータ: sora.chatgpt.com/sunset からエクスポートできます。準備ができるとメールで通知され、最終的なエクスポート期間が終わった後にデータは完全に削除されるとOpenAIが記載しています。期限の日付は公表されていません。
- 購入済みクレジット: ChatGPT/Soraのクレジットは、希望すればCodexで引き続き使えると案内されています。返金はChatGPTの返金窓口の手続きになります。
- Disneyとの提携: 10億ドルの出資は実行されず、契約は完了しないまま、提携は事実上の休眠に入ったと報じられています(Impress Watch)。
- 終了の理由: OpenAIの説明は、計算資源の需要が高まるなかで研究チームを世界シミュレーション研究に集中させるというものです。著作権問題を理由に挙げた公式説明は確認できていません(報道では著作権への懸念とコスト構造を背景とする見方がされています)。
読者への実際の影響
- 権利者・法務: 要望書→声明→政府要請という手順は、サービス終了という結果までは到達しましたが、判決でもライセンス条件の確定でもありません。次のサービスに対しては、①学習前の許諾の要求 ②どのデータを学習したかの開示要求 ③出力の再現性を確認する記録 を最初から求める形になります。CODAは2026年度から経済産業省の受託事業として生成AIサービスの実態調査を始めるとしており、ここに情報を持ち込めるかが次の実効性を左右します。
- 制作・利用: 業務でSoraの生成物を使っている場合は、公開済みの動画とは別に、素材そのもののエクスポートが必要です。第三者素材に似た出力を含んでいた場合、サービスの終了は侵害の責任を消しません。
- 同じ構図のサービスを選ぶとき: 学習データの扱い(オプトインかオプトアウトか)、権利者向けの制御機能の有無、削除要請の窓口、終了時のデータ持ち出し条件の4点を、契約前に確認する対象にしてください。
次の論点
- 最終エクスポート期間の期限(未公表)。
- CODAの2026年度実態調査の結果と、他社の動画生成AIへの要求。
- 生成AIの学習に関する法制度の議論(文化庁の考え方は法的拘束力を持たない整理のままで、司法判断は出ていません)。
よく検索される疑問
Sora 2 はなぜ終了したのですか?
OpenAIの公式説明は、計算資源への需要が高まるなかで、研究チームをロボティクスや世界シミュレーション研究に集中させるというものです。著作権問題を理由に挙げた公式説明は確認できていません。報道では、著作権への懸念と高い計算コストを背景とする見方がされています。
Soraで作った動画はもう見られませんか?
エクスポートできます。sora.chatgpt.com/sunset にアクセスして「エクスポート」を実行すると、準備ができた時点でメールが届きます。最終的なエクスポート期間が終わるとデータは完全に削除されるとOpenAIが記載しており、期限の日付は公表されていません。
日本の要請でOpenAIは何を変えましたか?
権利者がキャラクターの生成を制御する仕組みと収益分配の検討を表明し、日本の主要キャラクターの生成を制限したと報じられています。一方、企業としてオプトイン方式へ正式に転換したという告知は確認できていません。
Sora 2 の著作権侵害で訴訟は起きましたか?
確認した範囲では、Sora 2 の生成物をめぐる日本での訴訟提起は行われていません。CODAの要望書や19団体の共同声明は、提訴ではなく要求と原則の表明です。
購入したクレジットや返金はどうなりますか?
購入済みのChatGPT/Soraクレジットは、希望すればCodexで引き続き使えます。返金はChatGPTの返金窓口から申請する手続きになります。
出典
- OpenAIヘルプセンター「Sora の提供終了について知っておくべきこと」(2026-10-25 取得)
- CODA「OpenAI社に『Sora 2』の運用に関する要望書を提出」(2025-10-28)
- CODA「OpenAI社から『Sora2』サービス終了に関する報告を受領」(2026-03-27)
- 講談社「生成AI時代の創作と権利のあり方に関する共同声明」(2025-10-31)
- OpenAI「ディズニー各ブランドの人気キャラクターを Sora で利用可能に」(2025-12-11)
- ITmedia「日本政府、OpenAIに『著作権侵害行為』を行わないよう要請」(2025-10-10)
- 知財ニューストピックス(2025-10-14)
- CGWORLD「OpenAIの動画生成AIモデル『Sora 2』ローンチとその余波」
- ITmedia「『Sora 2』が踏んだ虎の尾」(2025-11-14)
- ITmedia「動画生成AI『Sora』アプリ終了」(2026-03-25)
- Impress Watch「Soraの失敗が示すもの Disneyとの『夢の提携』はなぜ崩れたか」
- GIGAZINE「CODAが学習拒否および著作権への要望書を提出」(2025-11-04)
未確認の一覧
- 最終的なエクスポート期間の期限(OpenAIは「設ける場合は開始前にメールで知らせる」とだけ記載)。
- OpenAIが企業方針としてオプトイン方式へ転換したかどうか。
- 対価還元の仕組みの具体的な内容と開始時期。
- Sora 2 の生成物をめぐる訴訟の有無(確認した範囲では提起されていない)。
- Sora API の後継の有無(OpenAIの案内は確認できていません)。
- Disneyとの契約・出資の最終的な処理(報道では未実行・休眠)。
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