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ChatGPTで10州がOpenAI提訴: 州ごとの請求と求める措置

進行中/ 最終確認

米国では2026年6月1日のフロリダを皮切りに、10月14日に8州、10月23日にテキサスが、それぞれ州裁判所で OpenAI と(一部はアルトマーCEO個人も)提訴した。訴因は著作権ではなく州の消費者保護法で、ChatGPT が「安全だ」と説明しながら未成年者に自傷・暴力・依存・個人情報収集のリスクを秘匿したと主張する。求めるのは民事制裁金と差止めで、アーカンソーは再帰的自己改善モデルの試験停止、テキサスは第三者評価の承認までの新モデル公開差止めまで求めている。連邦の著作権訴訟とは別系統で、統合もクラスアクション化もされていない。

発端
フロリダ州立大学で銃撃事件(2人死亡)
現在の状態
進行中最終確認
経緯
5件最新の動き

現時点の結論(2026-10-26 時点)

米国では2026年6月1日のフロリダを皮切りに、10月14日に8州(アリゾナ・アーカンソー・アイダホ・アイオワ・カンザス・モンタナ・ネブラスカ・ウェストバージニア)、10月23日にテキサスが、それぞれ自州の裁判所で OpenAI を提訴しました。あわせて10州です。訴因は著作権ではなく州の消費者保護法で、ChatGPT を「安全だ」と売りながら、未成年者への自傷・暴力・依存・個人情報収集のリスクを隠した、という主張です。求めるのは民事制裁金と差止めで、州によっては年齢確認の義務化、第三者評価が済むまでの新モデル公開の差止め、再帰的自己改善モデルの試験停止まで含みます。いずれも提訴された段階で、OpenAI の責任は認定されていません。

  • 前回確認からの変化: このページは今回の新規作成です。当サイトはこれまで OpenAI の著作権訴訟 と 生成AI 著作権侵害の年表 で OpenAI 関連の訴訟を追ってきましたが、いずれも連邦地裁の著作権・フェアユースの話で、州司法長官による消費者保護の訴訟は1件も扱っていませんでした。2026-10-14 の8州と 10-23 のテキサスというまとまった動きがあるのに、日本語で「どの州が、いつ、どの裁判所で、何を根拠に、何を求めているか」を1本に保つページがありませんでした。
  • 確定していること: ①フロリダが 2026-06-01 に最初の州提訴を行った(フロリダ第10司法巡回裁判所、訴状83ページ、OpenAI とアルトマーCEO個人が被告)②2026-10-14 に8州がそれぞれ自州の裁判所に別々の訴えを提起した(統合されていない)③2026-10-23 にテキサスがコリン郡の地方裁判所に提訴し、OpenAI の6法人とアルトマーCEO個人を被告にした(請求原因はテキサス欺瞞的取引慣行・消費者保護法と SCOPE 法)④各州が求める中心は民事制裁金と差止めで、アーカンソーは「十分な安全策が整うまでの高度AIの試験と再帰的自己改善モデルの作成」の差止め、テキサスは「裁判所が承認した第三者評価機関の承認までの新モデル公開」の差止めまで求めている⑤8州のうち公開されている訴状(ネブラスカ・アーカンソー・アリゾナ等)では被告は OpenAI の各法人だけで、アルトマーCEO個人が被告に入っているのは訴状で確認できるフロリダとテキサス⑥本件は連邦地裁の MDL No. 3143(著作権)とは別系統で、統合もクラスアクション化もされていない。
  • 未確定なこと: ④で触れたとおり、ユタ州が提訴したかどうか。アイオワ州司法長官の発表とアーカンソー州司法長官の発表は「ユタを含む」と読める書き方をしていますが、ロイター・AP・ガーディアンは8州と数えており、ユタ州自身の提訴資料は確認できていません。カンザス州の訴状は公開されておらず、内容は未確認です。OpenAI の答弁、各州の審理期日、判決の時期、和解の有無も公表されていません。制裁金の総額は、どの州も「違反1件あたり」の上限を定めているだけで、違反件数が決まっていないため算出できません。
  • 読者への実際の影響: 日本企業にとっての意味は2つです。1つは、米国向けに ChatGPT 型の対話サービスを出す場合、著作権より先に州の消費者保護法と子どものオンライン保護法が効いてくるという点。年齢確認、保護者同意、未成年向けの設計、安全性の広告表現が請求の中心です。もう1つは、「安全だ」と表示することが法的リスクになるという点。各州の主張は「危険がゼロでないこと」ではなく「危険を知りながら安全と表示したこと」に向いています。自社の対外説明・UI のコピー・プレスリリースの表現が、そのまま証拠になり得ます。
  • 次に注目する日付・出来事: ユタ州が提訴したかどうかの確定、カンザス州の訴状の公開、OpenAI の最初の答弁(期日は未公表)、11州目が出るか。連邦の著作権訴訟側では 2026-10-30(USA TODAY 訴訟で「停止すべきでない理由」の説明期限)と 2026-11-06(同・被告の応答期限)が動きますが、こちらは別系統です。
  • 一次資料と最終確認日時: テキサス州司法長官の発表(2026-10-23)と訴状PDF、フロリダ州司法長官の発表(2026-06-01)と訴状、アリゾナ・アーカンソー・アイオワ・ネブラスカ・モンタナの各州司法長官の発表(いずれも2026-10-14)、ネブラスカの訴状PDF(Buffalo County District Court、事件番号 D09CI260000488)。最終確認 2026-10-26 06:05(日本時間)

著作権訴訟とは何が違うのか

同じ OpenAI を相手にした訴訟ですが、争っている中身が別です。

  • 原告: 連邦の著作権訴訟は新聞社・著作者・出版社などの私人。州の訴訟は州の司法長官で、州民全体の代理として訴えています。
  • 根拠法: 連邦は著作権法(17 U.S.C. §501)とフェアユース(§107)。州は各州の消費者保護法(欺瞞的取引慣行法など)と、子どものオンライン保護に関する州法です。
  • 争点: 連邦は「学習に使うことはフェアユースか」。州は「安全だと説明したのに危険を隠したか」「未成年のデータを同意なく集めたか」です。
  • 求めるもの: 連邦はモデル・データの破棄や損害賠償。州は民事制裁金、差止め、年齢確認・保護者同意の義務化、設計の変更です。
  • 手続き: 連邦の新聞社訴訟は MDL No. 3143 にまとめられていますが、州の訴訟は1本にもまとまっていません。8州は同日に別々の訴えを出し、それぞれ自州の裁判所で進みます。クラスアクションでもないため、消費者が自分で請求に加わる手続きはありません。

つまり、著作権の判断が出る前に、州法のルートで設計と表示の是正を迫られているというのが現在地です。

提訴した州の一覧(2026-10-26 時点で10州)

2026-06-01 フロリダ(最初の州提訴)

  • 裁判所: フロリダ第10司法巡回裁判所。訴状は83ページ。
  • 被告: OpenAI と アルトマーCEO個人。
  • 根拠: フロリダ不正・欺瞞的取引慣行法、過失、製造物責任、詐欺的表示、公共の迷惑行為(報道で確認)。
  • 求めるもの: 州民に対する損害賠償(数十億ドル規模になり得ると司法長官が会見で述べた)と、若年利用者との接し方を変える差止め。
  • 併走する手続き: 州全体起訴局(Office of Statewide Prosecution)が、2025-04-17 のフロリダ州立大学の銃撃事件(2人死亡)の被疑者と ChatGPT の会話記録を契機に、刑事捜査を進めています。民事と刑事が並行しています。

2026-10-14 の8州(それぞれ自州の裁判所に別々に提訴)

  • アリゾナ(司法長官クリス・メイズ): マリコパ郡上位裁判所。アリゾナ消費者詐欺法違反。違反1件あたり最大1万ドルの制裁金、年齢確認の導入、安全な試験環境の外での高度モデルの試験停止などを求めています。
  • アーカンソー(司法長官ティム・グリフィン): アーカンソー欺瞞的取引慣行法(ADTPA)、子ども・10代のオンラインプライバシー保護法(CTOPPA)、コモンロー上の請求(過失、製造物責任の設計欠陥・警告義務違反、不当利得、公共の迷惑行為)の3本立て。違反の確認と差止め(未成年のデータ収集の差止めを含む)、重大リスクの明確な開示、消費者への返還、民事制裁金に加え、十分な安全策が整うまでの高度AIの試験および再帰的自己改善が可能なモデルの作成の差止めを求めています。8州のうち要求が最も広い部類です。
  • アイダホ(司法長官ラウル・ラブラドール): エイダ郡第4司法地区裁判所。訴状は107ページ。アイダホ消費者保護法違反。2026年に OpenAI のモデルが関与したとされるサイバー攻撃事案にも触れています。
  • アイオワ(司法長官ブレナ・バード): ポーク郡地方裁判所。アイオワ消費者詐欺法違反。報道によれば違反1件あたり最大4万ドル、高齢者が関わる違反はさらに5,000ドルを求めています。
  • カンザス(司法長官クリス・コバック): 訴状が公開されておらず、請求の内容と裁判所は未確認です。
  • モンタナ(司法長官オースティン・クヌドセン): モンタナ消費者保護法とモンタナ消費者データプライバシー法違反。13歳未満の個人情報について保護者への通知と同意を得る義務があるのに、ChatGPT には同意取得の仕組みも年齢確認もない、という主張です。
  • ネブラスカ(司法長官マイク・ヒルガース): バッファロー郡地方裁判所、事件番号 D09CI260000488(2026-10-14 09:51 CDT に電子提出)。ネブラスカ消費者保護法、統一欺瞞的取引慣行法、年齢に適したオンライン設計コード法の3法。請求は9つで、違反1件あたり2,000ドルの制裁金、返還・利益の吐き出し・弁護士費用を求めています。
  • ウェストバージニア(司法長官JB・マッカスキー): メイソン郡巡回裁判所、事件番号 CC-26-2026-C-70。ウェストバージニア消費者信用・保護法に基づく4つの請求(欺瞞的取引、不公正取引、公共の迷惑行為、不当利得)。違反1件あたり最大5,000ドルの制裁金、返還、利益の吐き出し、未成年者データの削除などを求めています。

2026-10-23 テキサス

  • 裁判所: コリン郡地方裁判所。
  • 被告: OpenAI Global、OpenAI Foundation(旧 OpenAI, Inc.)、OpenAI OpCo、OpenAI Group PBC、OpenAI Holdings、OpenAI, LLC の6法人と、アルトマーCEO個人。
  • 根拠: テキサス欺瞞的取引慣行・消費者保護法(DTPA)と、子どものオンライン上の安全を保護者による統制で確保することを定めた SCOPE 法。
  • 求めるもの: 違反1件あたり1万ドルの民事制裁金、資産の吐き出し、差止め。会見と報道では、十分な年齢確認と保護者同意なしの提供の禁止、安全性試験なしの提供の禁止、裁判所が承認した独立の第三者評価機関が安全策を審査し公開を承認するまでの新モデル公開の差止め、テキサス州の未成年者への提供そのものの差止めが挙げられています。訴状の請求項の全文は未確認です。
  • 特徴: 8州のうち公開されている訴状では被告は OpenAI の法人だけなのに対し、テキサスは個人(CEO)を被告に加えています。フロリダも同じ構図です。

各州が共通して主張していること

  • 設計: ChatGPT は同意しやすく共感を装うよう設計され、既存の安全装置を上回る形で未成年の利用時間と依存を増やしている。
  • 表示: 安全で信頼できる道具だと説明しながら、自傷・暴力・摂食障害・危険な服薬の助言などのリスクを開示しなかった。
  • データ: 年齢確認をせず、保護者の同意なく未成年の個人情報を集め、ChatGPT だけに打ち明けるよう促した。
  • 被害例: 自殺を肯定し具体的な方法を教えた事例、銃乱射の計画に関与した事例、危険な薬物の併用を止めなかった事例など。いずれも訴状の主張で、認定された事実ではありません。

OpenAI の反論(フロリダ訴訟時点)

AP 通信が引用した OpenAI の声明は、①未成年向けの保護機能を製品に組み込んでいる ②年齢予測の仕組みを入れている ③年齢が確実でない利用者を保護的な設定に既定で寄せる ④保護者が子どもの利用を監視する道具を提供している、という内容です。そのうえで「この取り組みを示しても子どもは戻らないが、正しくやることに全力を尽くす」と述べています。

日本の読者・企業にとっての実務的な意味

  • 米国向けに対話型AIを出す場合: 著作権より先に、州の消費者保護法と子どものオンライン保護法の論点が来ます。年齢確認の有無、保護者同意の取得、未成年向けの既定設定、安全性の広告表現が、そのまま請求の対象になります。
  • 「安全」と書くことのリスク: 各州の主張は「危険が残っていること」ではなく「危険を知りながら安全と表示したこと」に向いています。機能説明・UI のコピー・プレスリリースは、後から証拠として読まれます。
  • 日本法との違い: 日本では消費者庁の景品表示法(優良誤認)や、こども家庭庁・個人情報保護法の論点に近い構図ですが、州司法長官のように行政機関が州民全体のために訴訟を起こす枠組みは日本にありません。米国で事業をする場合は、州ごとに相手が違う前提で備える必要があります。
  • 日本国内の読者にとっての意味: この10州の訴訟は、日本で同じ設計・同じ説明をしている事業者にとって「将来どこを突かれるか」の見本になります。とくに未成年の利用と「安全」の表示は、日本の消費者保護の議論でも同じ順序で問題になります。

経緯新しい順 ・ 5件

  1. 最新
    このページを作成。ユタ州の提訴の有無、カンザス州の訴状、OpenAI の答弁、期日はいずれも未確認。
  2. テキサス州司法長官ケン・パクストンが、コリン郡地方裁判所に OpenAI の6法人とアルトマーCEO個人を提訴。根拠は DTPA と SCOPE 法。
  3. 8州(アリゾナ・アーカンソー・アイダホ・アイオワ・カンザス・モンタナ・ネブラスカ・ウェストバージニア)が、それぞれ自州の裁判所に別々の訴えを提起。同日、各州の司法長官が会見。
  4. フロリダ州司法長官ジェームズ・ウスマイヤーが、州として初めて OpenAI とアルトマーCEO個人を提訴。フロリダ第10司法巡回裁判所。あわせて州全体起訴局が刑事捜査を開始。
  5. フロリダ州立大学で銃撃事件(2人死亡)。被疑者と ChatGPT の会話記録が後に問題になります。

未確認・注意して読みたいこと

  • 「9州」と数える報道があります。アイオワ州司法長官の発表とアーカンソー州司法長官の発表は、同日の提訴に触れる中でユタ州を含めて列挙しています。ただしロイター・AP・ガーディアンは8州としており、ユタ州自身の提訴資料は確認できていません。当ページは「確認できた10州(フロリダ・8州・テキサス)」として数えています。
  • 制裁金の総額は出せません。どの州も「違反1件あたり◯ドル」という上限を定めるだけで、違反件数は裁判所が決めるためです。
  • 「数十億ドル」は請求の上限の見積りです。フロリダの司法長官が会見で述べたもので、認定額ではありません。
  • 請求の内容は州ごとに違い、訴状の全文が公開されていない州(カンザス)があります。本ページの記述は、各州司法長官の発表と、公開されている訴状の範囲に基づきます。
  • 連邦の著作権訴訟(MDL No. 3143)とは手続きが別で、判断が相互に拘束しません。著作権側の状況は OpenAI の著作権訴訟、全体の年表は 生成AI 著作権侵害の年表 にまとめています。

一次資料

  • テキサス州司法長官「Attorney General Ken Paxton Sues OpenAI and CEO Sam Altman for Lying to Users and Harming Texans」(2026-10-23)と訴状PDF
  • フロリダ州司法長官「Attorney General James Uthmeier Files First-in-the-Nation State-Led Lawsuit Against OpenAI, CEO Sam Altman」(2026-06-01)と訴状PDF
  • アリゾナ州司法長官「Attorney General Mayes Announces Lawsuit against OpenAI for Deceiving Arizonans about the Safety of ChatGPT」(2026-10-14)
  • アーカンソー州司法長官「Attorney General Griffin Sues OpenAI for Misleading Arkansans over Safety of ChatGPT」(2026-10-14)
  • アイオワ州司法長官「Attorney General Brenna Bird Announces Lawsuit against OpenAI for Deceiving Iowa Parents and Iowans about the Safety of ChatGPT」(2026-10-14)
  • ネブラスカ州司法長官「Attorney General Hilgers Announces Lawsuit against OpenAI for Deceiving Nebraskans about the Safety of ChatGPT」(2026-10-14)と訴状PDF(事件番号 D09CI260000488)
  • モンタナ州司法長官「Attorney General Knudsen files lawsuit against OpenAI for endangering children and teens」(2026-10-14)

最終確認 2026-10-26 06:05(日本時間)。未確認の点は本文に明記しています。