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画像生成AI著作権訴訟(Andersen ほか vs Stability AI・Midjourney 等): 直接侵害の主張が存続、証拠開示へ。争点・経緯・認否
米国のアーティストらが Stability AI、Midjourney、Runway、DeviantArt を相手取り起こした集団訴訟。2024年8月の連邦地裁命令で、学習時の無断複製をめぐる直接侵害などの主要請求が棄却を免れ、証拠開示(ディスカバリー)手続きが進んでいる。
- 発端
- Sarah Andersen、Kelly McKernan、Karla Ortiz のアーティスト3名が、Stabili…
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- 経緯
- 9件最新の動き
訴訟の概要(2026-10-10 確認)
- 事件名: Andersen et al. v. Stability AI Ltd. et al.(事件番号: 3:23-cv-00201-WHO)
- 裁判所: 米国カリフォルニア州北部連邦地方裁判所(サンフランシスコ)
- 担当判事: ウィリアム・オリック(William H. Orrick)連邦地方裁判所判事
- 原告: Sarah Andersen、Kelly McKernan、Karla Ortiz らのアーティスト(後に Hawke Southworth、Jingna Zhang、Adam Ellis、Julia Kaye、Gerald Brom、Gregory Manchess、Grzegorz Rutkowski らが追加)
- 被告: Stability AI Ltd.、Stability AI, Inc.、Midjourney, Inc.、Runway AI, Inc.、DeviantArt, Inc.
- 提訴日: 2023年1月13日
- 現在の段階: 事実審理前の証拠開示(ディスカバリー)手続きが進行中
- 次の期日: 公判期日は未確定(証拠開示の段階)
請求の認否と裁判所の判断
オリック判事は2023年10月と2024年8月の2度にわたり、被告側による訴訟却下の申立(Motion to Dismiss)に対する命令を下しました。
1. 2023年10月30日の命令(第1回命令)
裁判所は被告側の申立を大半認め、請求の多くを棄却しました(修正の余地を残す leave to amend 付き)。
- 棄却された請求: 著作権局への事前登録が確認できなかった原告(McKernan、Ortiz)の請求、「AIが出力したすべての画像が原告作品の派生著作物(二次的著作物)である」とする請求(具体的類似性の立証不足)、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)第1202条違反(著作権管理情報の削除・改変)、パブリシティ権侵害、商標侵害、不正競争防止法違反など。
- 存続した請求: Sarah Andersen による、登録著作物が学習データセットに取り込まれて複製されたとする Stability AI に対する直接著作権侵害の請求。
2. 2024年8月12日の命令(第2回命令・第1次修正訴状に対する判断)
原告側が登録著作物を持つ作家を追加し、Runway AI を被告に加えて提出した第1次修正訴状に対し、裁判所は直接侵害の請求などを認めてディスカバリーへの移行を許可しました。
- 存続した請求(ディスカバリーへ進行):
- 直接著作権侵害: Stability AI、Midjourney、Runway AI、DeviantArt の4被告すべてに対する請求。モデル自体が原告作品を取り込んだ複製物であるとする主張(モデル理論)および配布に関する主張(頒布理論)について、申立却下の段階では合理的な主張(plausible)であると認められた。
- 侵害誘発: Stability AI に対する請求。
- ランハム法(商標法)違反: Midjourney に対する虚偽の推薦・トレードドレスの主張(アーティストの名前や画風を用いた生成・プロモーション)。
- オリック判事は、被告側が主張した「家庭用ビデオデッキ(VCR)と同様の単なる道具である」とする抗弁を退け、生成AIモデルが大量の著作物そのものを用いて構築されている点を区別しました。
- 再申立不可で棄却された請求(With Prejudice):
- DMCA 第1202条(著作権管理情報の削除・改変)請求(意図的な削除要件の立証不足)。
- 契約違反請求および誠実公正義務違反請求(DeviantArt の規約に関する主張)。
- 修正の余地付きで棄却された請求(Leave to Amend): 不当利得請求。
経緯新しい順 ・ 9件
- 最新(関連企業動向)Getty Images が連邦破産法第11条(Chapter 11)の適用を申請し、非公開企業化を発表。Shutterstock との合併破談に加え、画像生成AIの普及による需要減と業績悪化が要因とされた。The Street 報道、Quartz 報道
- (関連訴訟・米国)米カリフォルニア州北部連邦地裁が Getty Images 対 Stability AI 訴訟で、商標侵害(ランハム法)の請求を退ける Stability AI 側の申立てを認めず、訴訟の継続を認める。Justia Dockets(3:25-cv-06891)、解説 Baker Botts
- (関連訴訟・英国)英高等法院が Getty Images 対 Stability AI 訴訟の判決を下す。Stable Diffusion のモデル重みは侵害複製物を内包していないとして二次侵害を退け、著作権侵害請求について Stability AI が勝訴。過去の出力に透かしが出た点のみ限定的な商標侵害を認定。[英高等法院判決 [2025] EWHC 2863 (Ch)](https://caselaw.nationalarchives.gov.uk/ewhc/ch/2025/2863)
- (関連訴訟・米国)Getty Images がデラウェア連邦地裁での Stability AI 訴訟を自主取り下げ、カリフォルニア州北部連邦地裁に出し直す。Justia Dockets(3:25-cv-06891)
- オリック判事が第2回申立却下命令を発付。DMCA違反や契約違反の請求を棄却した一方、Stability AI、Midjourney、Runway、DeviantArt に対する直接著作権侵害などの主要請求を認め、証拠開示(ディスカバリー)手続きへの移行を決定。CourtListener(命令書 Docket 222)、報道 Reuters
- 原告側が第1次修正訴状(FAC)を提出。登録著作物を持つ原告を追加し、新たに動画生成AIを手がける Runway AI を被告に追加。CourtListener(第1次修正訴状 Docket 129)、解説 Center for Art Law
- オリック判事が被告側の訴え却下申立を大半認容。著作権未登録の請求や「出力すべてが二次的著作物」との主張を棄却する一方、Andersen の直接侵害請求を残し、訴状の修正を許可。CourtListener(命令書 Docket 117)、報道 Reuters
- Getty Images が英国ロンドンの高等法院で Stability AI を提訴したと発表。Getty Images 発表
古い動きを見る(1件)
- Sarah Andersen、Kelly McKernan、Karla Ortiz のアーティスト3名が、Stability AI、Midjourney、DeviantArt を相手取り、カリフォルニア州北部連邦地裁に集団訴訟を提起。CourtListener(訴状 Docket 1)、報道 The Verge
- 2025-12(16〜17日の審理): (関連訴訟・英国)英高等法院が Getty Images に対し、二次的著作権侵害に関する控訴(Appeal)の提起を許可。CMS Law 解説
争点
- 学習データの無断複製とフェアユース: インターネット上から収集された数十億枚の画像データセット(LAION 等)をモデルの訓練に用いる行為が、米国著作権法上の直接侵害にあたるか、あるいは「公正利用(フェアユース)」として保護されるか。
- モデル内部の「圧縮コピー」理論: AIモデルは著作物の統計的特徴を抽出した数式にすぎない(被告側主張)のか、それとも原告作品がモデル内に実質的に「圧縮保持」されておりモデル自体が違法複製物といえるのか(原告側主張)。
- 生成物の類似性と二次的著作物性: 生成された画像が特定の原告作品と実質的に類似していない場合でも、原告の名前や画風(スタイル)を指定して類似した画像を生成できることについて、著作権侵害や商標法(ランハム法)上の責任を問えるか。
- 侵害誘発と流通責任: AIモデルをオープンソースや商用サービスとして配布・提供した行為が、第三者による侵害を誘発・助長したといえるか。
反応各方面の主な反応(要約)。出典は各行のリンク先を参照
原告・クリエイター側2024年8月の命令で直接侵害請求が残り、本格的な証拠開示(ディスカバリー)に進んだ。訴訟資料では、Midjourney 側で共有されていた1万6000人超のアーティスト名リストなどが証拠として法廷に提出された(報道 The Guardian)。
AI開発企業側モデルの重み(パラメーター)は画像のコピーを保持しているわけではなく、単なる学習と推論の技術であると反論。AIモデルは家庭用ビデオデッキと同様の道具であり出力の侵害責任を負わないことや、学習行為はフェアユースであり出力に実質的類似性がない限り侵害にはあたらないと主張して訴訟却下を求めていた(CourtListener(命令書 Docket 222))。
これから見る点
- ディスカバリーで開示される社内証拠: AI企業がどのようなデータセットを取得・加工し、モデルを訓練したかに関する内部記録や通信内容の開示。
- 略式判決(Summary Judgment)の行方: 陪審裁判の前に、事実関係に争いがないとして双方が裁判官による即時判断を求める申し立ての結論。
- 陪審裁判による公判(Trial)の進行: 陪審員の前で画像生成AIの学習行為とフェアユースが正面から判断されるか。
- 英国 Getty Images 控訴審の判断: モデル重みが著作物の複製にあたるかについての上級審判断が、国際的な著作権解釈に与える影響。
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