画像生成AIの商用利用: 主要5サービスの条件を公式規約で確認
画像生成AIを仕事で使えるかは、各サービスの規約で「出力の権利が誰のものか」と「禁止される用途」を分けて読むと判断できます。Google(Gemini・Imagen)は所有権を主張しない、OpenAI は出力を利用者に譲渡、Midjourney は生成物を利用者が所有(年商100万ドル超の会社は Pro か Mega が条件)、Adobe Firefly は商用プロジェクトでの利用を明示的に許可、Stability AI は年商100万ドル未満なら Community License で商用可。ただし規約で認められていても、日本の著作権法では生成物が既存作品に似ている場合に別の問題が起きます。
- 発端
- 作成
- 現在の状態
- 進行中最終確認
- 次の予定
- なし確定している今後の予定はありません
- 経緯
- 1件最新の動き
3行でいうと(2026-10-25 時点)
- 大手の規約は「商用利用禁止」ではなく「権利は利用者」: Google は生成コンテンツの所有権を主張しない、OpenAI は出力を利用者に譲渡する、Midjourney は生成物は利用者の所有、Adobe は商用プロジェクトでの利用を明示的に許可しています。禁止されているのは主に「第三者の権利を侵害する用途」です。
- 条件が付くのは2つ: Midjourney は年商100万ドル超の会社(とその従業員)が Pro か Mega プランでないと生成物を所有できません。Stability AI はモデルを自前で動かす場合、年商100万ドル未満なら Community License で商用利用も無償です。
- 規約でOKでも、日本の法域では別問題: 著作権法30条の4が扱うのは学習段階の話で、生成物を使う段階を許諾する規定ではありません。生成物が既存の著作物に似ていて、元作品に依拠したと認められれば権利侵害になり得ます。肖像権・商標権はさらに別に働きます。
このページは、各社の公式規約・公式ヘルプに書かれている条文だけを並べたものです。条文の解釈や個別案件の判断はしていません。取得日は 2026-10-25 で、規約は改定されます。
サービス別の条件(公式規約の原文から)
Google(Gemini・Imagen)
Google 利用規約(2024年5月22日発効)の「ユーザーのコンテンツ」には、生成物の扱いが1文で書かれています。
- 原文: 「Google の一部のサービスは、ユーザーによるオリジナル コンテンツの生成を許可しています。Google がそのコンテンツに対する所有権を主張することはありません。」出典: Google 利用規約
- 同じ規約には「ユーザーのコンテンツはユーザーに帰属します」という原則も書かれており、生成物について Google が権利を主張しない形になっています。
- 商用利用そのものを禁じる条項は、利用規約と「生成 AI の追加利用規約」のどちらにも見当たりません。制限は「生成 AI の使用禁止に関するポリシー」で、違法行為・他者の権利侵害・誤認させる用途などが列挙されています。出典: 生成 AI の追加利用規約
- 注意: 無料版の入力がモデル改善に使われるかどうかは、このページでは確認していません(下の「確認できていないこと」)。
OpenAI(ChatGPT・DALL·E)
OpenAI 利用規約(2026年1月1日発効)は、入出力の権利を明記しています。
- 原文: 「あなたは出力を所有します。OpenAI は、出力に関する当社の権利・権原・持分がある限り、それをあなたに譲渡します。」出典: OpenAI Terms of Use
- 商用利用を禁じる条項はありません。出力の利用は「利用ポリシー」と「共有・公開ポリシー」の範囲内という条件付きです。
- 見落としやすい制限: 人に関する出力を、信用・教育・雇用・住居・保険・医療・法律などの「その人に法的または重大な影響を与える決定」に使ってはいけない、と規約に書かれています。画像生成そのものより、採用スクリーニングや与信判断に出力を使うケースが該当します。
Midjourney
Midjourney 利用規約(2026年5月27日発効)は、生成物の所有を原則として利用者に認めています。
- 原文: 「あなたは、適用法の下で可能な最大限度において、本サービスで作成したすべての Assets を所有します。」出典: Midjourney Terms of Service
- 例外は3つ:
- 所有は本規約の義務と第三者の権利に服する。
- 年商100万ドル超の会社、またはその従業員は、「Pro」か「Mega」プランを契約していないと生成物を所有できない。
- 他人の画像をアップスケールした場合、その画像は元の作成者のもの。
- 公開が既定: 規約は「あなたのコンテンツは既定で公開され、リミックス可能」と書いています。非公開で使いたい場合は Stealth モードの条件を確認する必要があります(適用プランはこのページでは未確認)。
- 所有は、その後プランを下げたり解約したりしても続く、と明記されています。
Adobe Firefly
Adobe は、Firefly の出力を商用利用できることをヘルプの FAQ で明示しています。
- 原文: 「ベータ表記のない機能については、Firefly が生成した出力を商用プロジェクトで使用できます。ベータ表記のある機能も、製品内で明示的に禁止されていなければ商用プロジェクトで使用できます。」出典: Adobe Firefly FAQ
- 学習データについて: 「当初の商用 Firefly モデルは、Adobe Stock の画像、オープンライセンスのコンテンツ、著作権が切れたパブリックドメインのコンテンツで学習している」と説明しています(商用利用の安全性を説明する文脈)。
- 制限は「Adobe Generative AI User Guidelines」側にあり、第三者の著作権・商標・プライバシー・パブリシティ権を侵害する生成・入力が禁止されています。Content Credentials を外す行為も禁止です。
- IP 補償(侵害を主張された場合の補償)は企業向けの説明で触れられていますが、この FAQ には条件の条文がありません。適用条件は未確認です。
Stability AI(モデルを自前で動かす場合)
アプリではなくモデルをダウンロードして使う場合は、Community License の条件を見ます。
- Community License(2024年7月5日更新)は、年商100万ドル未満の個人・組織に商用利用を含むライセンスを無償で与える、と明記しています。出典: Stability AI Community License Agreement
- 年商100万ドル以上の場合は別契約(Enterprise)になります。
- 同ライセンスの「Commercial Purpose」には、自社製品・サービスの作成、ホスト型サービスや API 経由の提供、社内業務での利用が含まれます。
- API(platform.stability.ai)で使う場合の規約は別で、このページでは確認していません。
無料プランでも商用利用できる?
- 今回確認した5つのうち、「無料プランは商用利用不可」と定めているサービスは見つかりませんでした。無料か有料かではなく、用途の制限で縛る形が主流です。
- ただし無料プランは、入力した内容がモデル改善に使われる条件になっている場合があります。顧客情報・未公開の資料・社外秘の画像を入れる場合は、有料プランや法人向けの設定を先に確認してください。
- Midjourney は料金ページに無料枠の記載が見当たりません(有料プランのみという理解ですが、このページでは料金ページの原文を確認していないため未確認とします)。
日本の著作権法ではどうなるか
規約の話と法律の話は別です。日本の場合、次の3点を分けて考える必要があります。
- 学習段階: 著作権法30条の4(平成30年改正で整備された「柔軟な権利制限規定」)は、AI の開発・学習のための著作物利用を、著作権者の利益を不当に害さない範囲で認めています。出典: 文化庁「AIと著作権について」
- 生成・利用段階: 30条の4は生成物の利用を許諾する規定ではありません。生成物が既存の著作物に類似していて、元作品に依拠して作られたと認められれば、著作権侵害になり得ます。文化庁は「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)で、この段階を分けて整理しています。
- 別の権利: 実在の人物の顔・声には肖像権・パブリシティ権が、ロゴや著名なキャラクターには商標権が働きます。著作権とは別の条文・別の判断になります。
- 生成物そのものが著作物として保護されるかは、人間の創作的寄与の程度による、と文化庁の考え方は整理しています。どこまで手を入れたら保護されるかの線引きは、このページでは断定しません。
実務の確認項目は、文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)が立場別(AI 開発者・AI 利用者・権利者)にまとめています。
商用利用で止まりやすい3つの型
1. 既存キャラクター・ロゴ・特定の作家の画風を狙ったプロンプト: 各社の規約で禁止されている類型で、権利侵害のリスクも最も高い使い方です。
2. 実在の人物の顔・声: 肖像権・パブリシティ権の問題になります。構図や服装の指定でもリスクは下がりません。
3. 顧客の機密を無料プランに投入: 学習利用や外部共有の条件がプランで違うため、規約違反より先に情報漏えいの問題になります。
確認できていないこと
- Adobe Firefly の IP 補償の適用条件(Enterprise 契約の条文を確認していない)
- Stability AI の API(platform.stability.ai)の利用規約
- Midjourney の無料枠の有無、Stealth モードが使えるプラン
- 無料プランでの入力のモデル改善利用について、各社の現行のプライバシー条件
- 生成物が著作物として保護されるための「創作的寄与」の具体的な線引き
経緯新しい順 ・ 1件
- 最新作成。Google 利用規約(2024-05-22)・OpenAI 利用規約(2026-01-01)・Midjourney 利用規約(2026-05-27)・Adobe Firefly FAQ・Stability AI Community License(2024-07-05)・文化庁「AIと著作権について」を一次資料として確認。
よくある質問
商用利用を禁止しているサービスはある?
今回確認した5つの中では、商用利用そのものを禁止している規約はありませんでした。禁止されているのは、第三者の権利を侵害する用途、違法な用途、誤認させる用途です。条件が付くのは Midjourney(年商100万ドル超は Pro か Mega)と Stability AI(年商100万ドル未満が無償の範囲)です。
無料プランで作った画像を商品に使える?
規約上は、無料か有料かで商用利用の可否を分けているサービスは見つかりませんでした。ただし無料プランは入力内容がモデル改善に使われる条件になっている場合があるため、顧客情報を入れる使い方は避けてください。
生成AIの画像に著作権は発生する?
文化庁の考え方では、人間の創作的寄与の程度によって著作物として保護され得る、と整理されています。逆に、プロンプトを入れただけの出力は保護が認められにくいという整理です。個別の判断は専門家に確認してください。
規約でOKなら法律上も問題ない?
別です。規約は各サービスとの契約、著作権法は日本国内の法律で、判断の基準が違います。規約で許可されていても、既存作品に似た生成物を商用利用すれば権利侵害になり得ます。
会社で使う場合に最初に確認するのは?
年商と契約プランです。Midjourney は年商100万ドル超だと Pro か Mega が必要、Stability AI は年商100万ドル以上だと Community License の範囲外になります。
出典
- Google 利用規約 — 生成コンテンツの所有権を主張しない旨、「ユーザーのコンテンツ」の帰属
- 生成 AI の追加利用規約 — 使用制限と使用禁止ポリシーの適用
- OpenAI Terms of Use — 出力の所有と譲渡、人に関する決定への利用制限
- Midjourney Terms of Service — 生成物の所有、年商100万ドル超の条件、既定の公開とリミックス
- Adobe Firefly FAQ — 商用利用の可否、学習データの説明
- Adobe Generative AI User Guidelines — 第三者の権利の尊重、Content Credentials
- Stability AI Community License Agreement — 年商100万ドル未満の商用利用、Commercial Purpose の定義
- 文化庁「AIと著作権について」 — 30条の4の考え方、「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)、チェックリスト&ガイダンス(令和6年7月31日)