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AI による「2つのゲームを混ぜる mod」の流行と実態: 橋渡し技術の仕組み、権利問題と modder の反発
2026年9月下旬から、AIを用いて異なるゲームを合体させる「ゲームマッシュアップ」動画がSNSで急拡散した。「コードが融合した」と話題になったが、実態は2つのゲームを並行起動してデータを中継するブリッジ技術などが大半である。modderコミュニティからの反発や、権利者申し立てによる動画削除、Activisionからの申し立て報告、Rockstarによるmodガイドライン公開など権利面の摩擦も生じている。
- 発端
- Xユーザーの chasm が、『Skate 3』をRustで再実装しCodexでリバースエンジニアリングしたプロジェクト…
- 現在の状態
- 進行中最終確認
- 次の予定
- なし確定している今後の予定はありません
- 経緯
- 10件最新の動き
出来事の概要(2026-10-14 確認)
- 2026年9月下旬から10月上旬にかけて、X(旧Twitter)やYouTube、TikTokで「AIを使って2つのゲームを合体させた」とするプレイ動画が急速に拡散しました。VGC 報道、Know Your Meme 解説
- 代表例として、『Elden Ring』の世界を飛ぶ『Minecraft』のスティーブ(2,250万回以上再生されたと報道)、『Call of Duty: Modern Warfare 2』で滑るスケボー、『Elden Ring』のボス(マルギット)と戦う『スーパーマリオ64』のマリオ、『Skyrim』に『Escape from Tarkov』の銃器を持ち込む動画などがSNS上で広く拡散されました。VGTimes 報道
- 一部では「AIが2つのゲームのコードを1つに融合させた」と喧伝されましたが、技術的検証により、実態は2つのゲームを同時に動かしてデータ(座標や判定)をやり取りする「ブリッジ方式」が大半であることが判明しています。
- modder(mod制作者)コミュニティからは「創造性のないAIスロップ(粗製乱造)」との失望や反発が広がっています。また、他社IPの無断利用に対する権利侵害の申し立ての報告や、ゲーム会社によるmodガイドラインの公開など、権利面での摩擦も表面化しています。
ゲーム融合の仕組みと「AI生成」の実態
動画の多くは「AIが2つのゲームを完全に1本にまとめた」わけではなく、以下のような仕組みで動作しています。
1. 2つのゲームを並行起動する「ブリッジ(橋渡し)方式」
- 最も多くのマッシュアップ(Minecraft × GTA 5、SkyCraft、ArkWebなど)で採用されている手法です。
- 1台のPC上で両方のゲームを同時に起動し、バックグラウンドのブリッジプログラムを通じて、カメラ座標、足元の接地判定、攻撃や爆発といったイベントを毎フレーム相互に通信します。
- 一方のゲーム画面やオブジェクトをもう一方のゲーム画面に重ね合わせ(オーバーレイ)、深度情報を同期して表示します。
- 制約と限界: 2つのゲームを同時に動かすためマシン負荷が高く、オブジェクト数が増えるとクラッシュの原因になります。たとえば VGTimes が検証した Minecraft × GTA 5 の特定 mod では、スポーンされた全オブジェクトの合計が約1,500に達するとクラッシュするため、配置できるブロックが実質約400個に制限されるといった制約が報告されています。VGTimes 報道
2. 過去の逆コンパイル資産の流用
- 『スーパーマリオ64』のマリオを『Elden Ring』に登場させた例では、有志コミュニティによって過去に完全逆コンパイルされていたマリオの挙動コードを抽出し、Elden Ring 側にフロア判定やボタン入力を渡すことで動かしています。この手法自体はAI登場以前から存在する古典的なアプローチです。
3. エンジンの再実装基盤への統合
- 『Modern Warfare 2(2009)』にスケートボードを持ち込んだ例では、有志がゼロからRustで再実装したMW2のオープンソース基盤を利用し、そこに再構築した『Skate 3』の挙動や簡易Minecraftの処理を組み込んで単一プログラムとして動かしています。
4. AIコーディングエージェントの役割と実態
- MW2 にスケートボードを持ち込んだ chasm の制作例では、Codex や Claude Opus 5.5(Claude Code 経由)などのコーディング支援ツールが使われたと報じられています。VGC 報道
- 一方で、マリオの登場例(Deltaroo)や Tarkov in Skyrim などは、作者自身が AI を使用したかを明言していないと指摘されています。VGTimes 報道
- AI が担ったのは、相手側ゲームのコードや逆コンパイル結果の解析、プロセス間通信(ブリッジ)の記述、起動テストと自動デバッグといった作業支援です。
- 一方で、ゲームとしての調整やプレイ感の改善には人間が手作業で試行錯誤を重ねる必要があり、「プロンプト1つで遊べるゲームが自動生成される」わけではありません。
経緯新しい順 ・ 10件
- 最新大手ゲームメディア VGC が、AIゲームマッシュアップ動画の拡散と modder やプレイヤーの間で生じている反発・論争を報道。VGC 報道
- AI Game Mashups の年表によると、Deltaroo による『スーパーマリオ64 in Elden Ring』の動画投稿が権利者の申し立てにより削除されたと記録される(メディア報道でも動画の一部削除や権利者申し立て表示が確認されている)。AI Game Mashups 年表、AUTOMATON 報道、Teknokratiet 報道(※申立人が誰であるかは特定されていません)
- chasm の報告によると、Activision から著作権申し立て(copyright strike)を受けたとされる。対象は Rust による再実装の mashup ではなく、MW2 の逆コンパイル(decomp)に関する投稿とされる。VGTimes 報道(※Activision からの公式発表は未確認)
- エンジニアの Rehan Sheikh が、コーディングエージェント向けツール「Universal Modder」を GitHub で公開。Universal Modder GitHub
- cydonix が『Skyrim』に『Escape from Tarkov』を持ち込む「Escape from Skyrim」の動画を公開。cydonix X投稿
- Deltaroo が『スーパーマリオ64』のマリオが『Elden Ring』のマルギットと戦う動画を公開。Deltaroo X投稿
- Tobyn Jacobs が『Minecraft in Elden Ring』の動画を投稿。X上で2,250万回以上再生されたと報じられる。Tobyn Jacobs X投稿、VGTimes 報道
- chasm が YouTube に MW2 × Minecraft / Skate 3 の詳細な解説動画を公開。YouTube
古い動きを見る(2件)
争点とコミュニティの反応
1. modder コミュニティの失望と反発
- 「創造性のないAIスロップ」への批判: 既存の2つのゲームを並べただけで創造的な工夫がないバズ狙いの動画に対し、長年手作業でmodを制作してきた開発者から強い反発が起きています。Kingdom Hearts の modder Discount Mods は「低品質なAI modで埋め尽くされるなら制作をやめる」と述べ、modder の Kran も「自身もAIを使うが、このトレンドは単なる表面的な客寄せにすぎない」と批判しました。VGC 報道
- PC移植コミュニティの懸念: ゲームの逆コンパイル・PC移植(decomp/recomp)を進める技術者からも、AIが雑に生成した保守不能なコード(「slopcomp」)が拡散することへの懸念が表明されています。
2. 著作権侵害とゲーム会社の規約
- 他社IPの持ち込みリスク: 他社のキャラクターやモデルを別ゲームに無断で組み込む行為は、パブリッシャーの権利を侵害するリスクを常に抱えています。
- 今回の動画への対応報告:
- Deltaroo の動画削除: Deltaroo による『スーパーマリオ64 in Elden Ring』の動画投稿に対し、権利者の申し立てにより動画が削除されたと報じられています。外部の年表(AI Game Mashups)では削除日を10月3日と記録しています。なお、Xの表示から申立人が誰であるか(任天堂など)は特定されていません。AUTOMATON 報道、Teknokratiet 報道、AI Game Mashups 年表
- Activision: 制作者 chasm が、MW2 逆コンパイル関連の投稿に対して Activision から著作権申し立てを受けたと報告しています。VGTimes 報道
- 他社 IP の利用に関するガイドライン(今回の動画への個別措置とは区別):
- Rockstar Games: 2026年9月に mod ガイドラインを公開し、他社の保護された知的財産や他ゲームのコンテンツを持ち込む mod を行わないよう明記しています。Rockstar 公式ガイドライン
- 別件のファンプロジェクトに対する過去の対応例:
- VGTimes の記事では、今回の mashup トレンドとは直接関係のない別件として、SNK によるファン制作リコンパイル版への対応や、ソニーによる非公式マルチプレイ mod の停止事例などが、各社の知的財産保護姿勢の例として言及されています。VGTimes 報道
3. 偽ダウンロードページとマルウェアのリスク
- 話題になった動画のうち、一般に配布されているものはごく一部(Deltaroo による『Mario in Elden Ring』のリリースや、SkyCraft、MW2 スケートなど動作が不安定なもの)に限られます。『Minecraft in Elden Ring』などは作者による公式配布が行われていません。VGTimes 報道
- これに便乗し、GitHub やまとめサイト上に「公式ダウンロード」と偽る悪質なページが出現しており、プレイヤーがマルウェアに感染するリスクが警告されています。VGTimes 報道
これから見る点
- パブリッシャーによる権利行使の厳格化: AI支援によって制作速度が上がった他社IP混在modに対し、ゲームパブリッシャーがプラットフォーム(GitHub や X、動画サイト)への削除要請をどこまで強化するか。
- mod 配信サイトのルール整備: Nexus Mods など主要な mod 配信プラットフォームにおいて、AI生成modに対する表示義務付けや品質審査の基準がどう進むか。
- 技術の健全な活用: 単なる動画上のオーバーレイにとどまらず、合意されたAPIや非商用枠組みを通じて、ゲームエンジン間の連携技術が正式な開発支援に活かされるか。
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